0. 導入:AIがExcel語の通訳兼、家庭教師になる
チカ、チカ…。真っ白なセルの中で、カーソルが点滅している。
頭の中には、やりたいことが明確に浮かんでいる。「この膨大なデータの中から、特定の条件に合うものだけを抜き出して合計したい…」
しかし、指はキーボードの上で固まったまま。
「えーっと、どの関数を使えばいいんだっけ…SUM…IF…?あれ、引数の順番は…?」
結局、よく分からないままネットで検索し、専門的すぎる解説記事に翻弄され、あげくの果てには「#N/A」や「#VALUE!」といった無慈悲なエラー表示に心を折られる…。
Excelが本当に難しいのは、計算そのものではなく、あの独特で融通の利かない**「関数の文法」**を正確に覚え、使いこなさなければならない点にあります。
ですが、もうその苦しい“独学”の時代は終わりです。
もし、あなたのやりたいことを「普通の日本語」で話すだけで、①どういう手順で解決できるか(道筋)、②どの関数を使えばよいか(道具)、そして**③その関数の役割と具体的な使い方(取扱説明書)まで、すべてをセットで教えてくれる“通訳兼、家庭教師”**がいたら?
この記事を読めば、AIをそんな賢くて頼れるパートナーにする方法が分かります。
そもそも「AIを使ったことがない…」という方へ
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まずはこちらの記事を読んで準備を整えたら、またこの記事に戻ってきて、一緒に続きを楽しみましょう!
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1. 【重要】Excel相談で守るべき2つのルール
AIという家庭教師は非常に優秀ですが、彼に質問をする前には、絶対に守るべき“お約束”があります。ここを疎かにすると、思わぬトラブルに繋がる可能性も。実践に進む前に、必ずこの2つのルールを頭に入れてください。
ルール①:機密情報は必ず「ダミーデータ」に置き換える
会社の売上データや顧客リストなど、社外秘の情報が含まれる表を、そのままAIに貼り付けてはいけません。AIは入力された情報を学習する可能性があるため、万が一の情報漏洩リスクを避ける必要があります。
AIに相談する際は、必ず表の構造はそのままに、中身のデータだけを仮のものに入れ替えて質問しましょう。
- 悪い例 🙅♀️「株式会社ABC商事から受注した、製品Z-1000の4月売上(担当:田中)…」
- 良い例 🙆♀️「A社から受注した、商品Xの4月売上(担当:山田)…」
ルール②:AIの答えは必ず「テスト」してから使う
AIが提示した関数が、本当に正しい答えを返すか、必ず少量のデータで試算・検算するクセをつけましょう。AIも人間と同じで、時々勘違いをすることがあります。
あくまで**「答えとその考え方を教えてくれる先生」**です。最終的なデータの正確性に責任を持つのは、あなた自身。先生の答えを鵜呑みにせず、「本当にそうかな?」と確認する優等生になりましょう。
2. 【実践】AIをあなたの専属Excel講師にする3ステップ
さあ、お待たせしました!ここからは、AIをあなたの専属Excel講師として、具体的な悩みを解決してもらいます。AIがただ答えを教えるだけでなく、その「理由」まで解説してくれる様子に注目してください。
ステップ1:AIエクセルに『やりたいことを伝えて、道筋と関数を教えてもらう』
まずは基本の質問から。目の前の表でやりたいことを、そのままAIに伝えてみましょう。
【魔法のプロンプト Lv.1】
`「以下のような売上表があります。
| A列:日付 | B列:商品名 | C列:売上金額 |
この中から、B列が『商品A』の場合だけ、C列の売上金額を合計したいです。
これを実現するためのExcel関数と、その関数の役割、そして具体的な使い方(各引数が何を意味するのか)を初心者にも分かるように教えてください。」`
このプロンプトによって、あなたはただ関数を得るだけではありません。「SUMIFという関数を使います。これは“条件(IF)に合うものだけを合計(SUM)する”関数です」という役割から、「=SUMIF(範囲, 条件, 合計範囲)の順で指定し、今回の場合は…」という具体的な使い方まで、完璧な解説がセットで手に入ります。
ステップ2:『複雑な悩みも、分解して質問してもらう』
多くのExcel初心者が挫折する「VLOOKUP関数」。こんな複雑な悩みも、AI先生にかかれば怖くありません。
【魔法のプロもンプト Lv.2】
`「シート1には『売上表』が、シート2には『価格リスト』があります。
[シート1:A列 商品名, B列 販売数]
[シート2:A列 商品名, B列 単価]
シート1の商品名を使って、シート2から単価を検索し、シート1のC列に表示させたいです。
最適な関数と、その関数の使い方を、各引数がどのシートのどの列に対応するのかが明確に分かるように、ステップ・バイ・ステップで詳しく解説してください。」`
AIは、「まずVLOOKUP関数を使います。第一引数の『検索値』には、シート1のA2セルを指定します。次に…」というように、あなたがどのセルを見ながら、どう考えれば良いのか、思考のプロセスを追体験させてくれるような、丁寧な解説をしてくれます。
ステップ3:『“魔法の呪文”を唱えてもらう』
関数ではできない面倒な定型作業は、AIに「マクロ」という魔法の呪文を唱えてもらいましょう。
【魔法のプロンプト Lv.3】
「Excelで、C列の売上金額が10000円以上の場合、その行全体を自動で黄色に色付けするVBAマクロのコードを教えてください。 また、そのコードが何をしているのか、各行がどんな意味を持つのかをコメント形式で解説し、Excelに設定する手順も教えてください。」
AIは、VBAコードを提示するだけでなく、「’C列の値を1行ずつチェックします」といったコードの“翻訳”と、「①Alt+F11キーを押し…」という実装手順のマニュアルまで、すべてを用意してくれます。あなたはただ、その指示に従うだけです。
3. 【応用】あなたのExcelスキルをさらに伸ばすAI活用術
基本編で、目の前の悩みをAIに解決してもらう方法をマスターしたあなたへ。ここからは、AIをさらに一歩進んだ形で活用し、あなたのExcelスキルそのものを能動的に高めていくための応用テクニックをご紹介します。
活用術①:『逆引き家庭教師』として未知の関数を学ぶ
これまでは「〇〇したい」という具体的な悩みからスタートしました。しかし、AIを使えば「〇〇という関数を勉強したい」という、あなたの学習意欲そのものを起点に、新しいスキルを体系的に学ぶことができます。
【魔法のプロンプト Lv.5】
「Excelの『データベース関数』(DSUMやDCOUNTなど)について、全くの初心者です。これらの関数がどんな場面で役立つのか、具体的な使用例を交えて教えてください。 また、練習用のサンプル表と、その表を使った練習問題を3つ出してください。」
このプロンプト一つで、あなたは①関数の概念説明、②具体的な使用シーン、③練習問題という、まるで教科書のような学習セットを手に入れることができます。AIが、あなた専用のカリキュラムを作ってくれるのです。
活用術②:『データ分析の相談役』になってもらう
手元にあるデータをただ集計するだけでなく、そこから何か新しい発見をしたい。そんな時、AIは優秀なデータ分析の相談役になります。
【魔法のプロンプト Lv.6】
「この売上データから、何か面白い分析はできませんか?分析の切り口のアイデアを3つ、具体的な手順と共に提案してください。」
AIは、あなた一人では思いつかなかったような分析の切り口や、隠れたインサイト(洞察)を引き出すためのヒントをくれます。あなたのビジネスを加速させるアイデアが、AIとの対話から生まれるかもしれません。
活用術③:『最適なグラフのデザイナー』になってもらう
データを最も効果的に、そして美しく見せるためのグラフ選びは、意外と難しいものです。そんなデザインの相談も、AIは大得意です。
【魔法のプロンプト Lv.7】
「このデータを上司に分かりやすく報告したいです。円グラフ、棒グラフ、折れ線グラフのうち、どのグラフで見せるのが一番効果的ですか?その理由も教えてください。」
AIは、それぞれのグラフが持つ特性を理解した上で、あなたの目的に最適な表現方法を、その理由と共に提案してくれます。もう、プレゼン資料のグラフ選びで迷うことはありません。
4. まとめ:もうExcelは怖くない。最高の“講師”がすぐ隣にいる
いかがでしたか?
これまで「複雑な計算式が並ぶ、無機質なソフト」に見えていたExcelが、AIという最高のパートナーを得ることで、**「自分のアイデアを形にしてくれる、創造的なツール」**に変わって見えませんか?
これからは、Excelで行き詰まる30分が、AIから**「答え」と「知識」の両方を得られる30秒の学習時間**に変わります。
AIは、ただ魚(関数)を与えてくれるだけではありません。魚の釣り方(関数の使い方や考え方)まで、丁寧に教えてくれます。だから、AIを使えば使うほど、あなたのExcelスキルそのものが向上していくのです。
次にExcelを開くとき、もう不安に思う必要はありません。あなたの隣には、24時間いつでも質問に答えてくれる、最高の家庭教師がついているのですから。

